さぬき市地方は高気圧に覆われて概ね晴れていた。気温は8度から18度、湿度は64%から50%。日中は暖かい小春日和になった。風は2mから3mの南南西の風。明日の17日は、午前中は晴れるらしいが、午後は前線が通過するため雲が広がりやすく、昼過ぎから夕方にかけて雨の降る所がある見込みとか。
今日はさぬき市南部、多和兼割という地区にある「四国霊場88番札所・大窪寺」に向かった。今日は紅葉見物でもお参りでもなくてお勉強。さぬき市観光協会がやっている「おへんろつかさ」という観光アテンダント、ボランティアガイド養成講座を受講するため。
会場は、このお大師堂だが、ここに入るにはどうしたらいいのか。思案していると、「おへんろつかさの会」の制服を着た人が、「こっち、こっち」と誘導してくれた。
実は、お大師堂の地下にある、この、「お砂踏み場」から入るのだ。今日は拝観料の500円は不要。
「お砂踏場」と言うても、実際に砂は置いていない。単に、四国霊場88ヶ所の本尊とか、お真言を書いたお軸が並んでいるに過ぎない。ただ、お仕事や体の調子の悪い人は、ここにお参りすれば、お四国を回ったことになるらしい。
そのお大師堂の中に、座布団を並べて、臨時の講義室が作られた。右側が内陣。左手が参拝口。地下のお砂踏場から上がってきて、この紅い敷物の上でお参りをして、向こう側から元の砂踏場に降りる・・・という構造になっている。
で、1コマ目は、この藤井洋一先生の「さぬきのへんろみち」についての講義。遍路道の変遷や丁石、お接待や納め札、山伏や六十六部衆の足跡という民俗学的見地からの研究発表があった。
二コマ目は、大窪寺住職の槙野恵純師から、大窪寺の縁起、本尊、寺宝などについての講義。朴訥として話される中に、科学的にものごとを説明してくれて、時には大笑いしながらの講義になった。「結縁灌頂:けちえんかんじょう」という真言宗の儀式なども、おもしろおかしく説明されて(本人はまじめに話しているのだが)、実に、ありがたく、おかしく思ったものだった。
三コマ目は、「おへんろつかさの会」の先輩から、ガイドの手順、方法、コツなどを含めて、境内の案内と説明。お寺のどこをガイドするか、何をメインに説明するか・・・など、場所、場所で説明してくれる。
お遍路さんの必需品の「金剛杖」の意味、つきかた、お遍路が終わった後の処理の仕方など・・・。
今日は晴天の土曜日ともあってか、お遍路さんの姿も多くて、その上に紅葉見物のカメラマンがものすごく多い。その混雑する境内を縫うようにしてのガイド研修。「お釈迦さんはどこで生まれたん?」「お釈迦さんが悟ったのは何の木の下?」「お釈迦さんが亡くなったのは何の木の下?」試験されているような質問攻めをしながら、要所要所の解説と、案内・・・。
この研修会も、今日で四回目。もう、前回で勉強したことは忘れてしまっている。坊さんになるときに勉強した宗教要論とか、仏教概論とかで習ったこともとっくの昔に忘却の彼方・・・。今日、習ったことも、三日もすれば思い出せないに違いない・・・。
ま、この研修を受けて終わっても、ボランティアガイドになるのも、ならないのも自由なので、そんなにたいしたことではないが、せっかくの機会だから、しっかりとお勉強しなければならないとは思うのだが・・・。
今日の掲示板はこれ。「この一年 悔いなしと散る 落ち葉かな」というもの。花には花の役割があり、葉っぱには葉っぱの役目がある。冬が近くなると、広葉樹などは広い葉っぱでは水分を発散させるので木が弱るために葉っぱを切り落とす。また、光合成能力の落ちてきた葉っぱでも植物は弱る。そこで葉っぱを捨ててしまう。紅葉はその前段階で変色するものらしい・・・。紅葉も落葉もお仕事を終えた葉っぱを切り離すことでおきる自然現象。これを悲しいと見るか、寂しいと見るかは人間様のこころのありようだけ・・・。それよりも何よりも、このわたしの一年は悔いのない一年であったのかと問うてみる時期も迫ってきたようだ。
じゃぁ、また、明日、会えるといいね。